SESに将来性はある?20代エンジニアのキャリア判断ガイド|業界動向・個人の将来性を分ける視点・キャリアパス4分岐・企業の見極め方を徹底解説

「SESの将来性は?業界と個人で分けて考えよう」と書かれた黒板の前で解説する女性のイラスト 職種・仕事ガイド

「SESの将来性」を語るなら業界と個人を分けて考えよう──20代のキャリア判断に必要な視点

SESに将来性はあるのか? 結論から言えば、SES業界全体の将来性はIT人材不足とDX需要の拡大により今後も伸びますが、SESエンジニア個人の将来性は「どんな企業に所属し、どんな案件でスキルを積むか」によって大きく分かれます。

この記事では、SES業界の将来性を今後の動向とポジティブ・ネガティブ両面で分析した上で、SESとSIerの将来性の違い、20代のSESエンジニアが取りうるキャリアパス4分岐、将来性のあるSES企業を見極めるチェックリスト、AI時代の展望までを徹底解説します。「このままSESにいて大丈夫か」と不安を感じている方は、この記事で自分のキャリアの方向性を判断してください。なお「SESから転職できない」という思い込みについては、関連記事「SESから転職できないは嘘?20代が陥る3つの壁と突破法|原因診断・SES経験の武器化・転職先別難易度マップ・面接回答術を徹底解説」でも詳しく解説しています。

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SES業界の将来性|今後の動向とポジティブ・ネガティブ要素

SESの将来性を正しく判断するには、業界のポジティブな面とネガティブな面の両方を知る必要があります。「将来性がある」「オワコンだ」のどちらかに偏った情報だけでは正しい判断はできません。まず前提として、IT人材不足とDX投資の拡大により、SES業界そのものは今後10年程度のスパンでも需要が続くと見込まれます。

SES業界の将来性について、市場規模・人材需要・働き方・キャリアパス・収入の5観点でポジティブ要素とネガティブ要素を対比した表です。
観点ポジティブ要素ネガティブ要素
市場規模IT市場は年率5%以上で成長。DX推進により企業のIT投資が加速しているSES企業の乱立により価格競争が激化し、単価が上がりにくい傾向がある
人材需要経済産業省の試算ではIT人材は2030年に最大79万人不足と予測されているAIの進化により、テストや単純なコーディングなど一部業務が自動化される可能性がある
働き方リモートワーク対応案件が増加し、働き方の柔軟性が向上している客先常駐の文化が根強く、SES特有の帰属意識の薄さは構造的に解消されにくい
キャリアパス多様な現場を経験できるため、幅広い技術に触れる機会がある自社の評価制度が不透明な企業が多く、キャリアアップの道筋が見えにくい
収入IT人材の年収は全産業平均を上回り、スキル次第で上昇余地がある多重下請け構造の下流に位置するSES企業では、エンジニアの取り分が少なくなりがち

ここで重要なのは、ポジティブ要素は「業界全体」に当てはまる話であり、ネガティブ要素は「企業選び」と「個人の行動」で回避できるものが多いということです。つまり、SES業界に将来性はあるが、その恩恵を受けられるかは自分次第だと言えます。

「業界の将来性」と「個人の将来性」は別物

SESの将来性を考えるときに最も大切なのは、「業界の将来性」と「自分個人の将来性」を分けて考えることです。

業界の将来性とは、SESというビジネスモデル自体が今後も存続し成長するかどうかの話です。これは前述のとおり、IT人材不足とDX需要の拡大により、当面は成長が見込まれます。

一方、個人の将来性とは、あなた自身がSESエンジニアとして3年後・5年後に市場価値の高い人材になれるかどうかの話です。これは業界の成長とは無関係に、どんな案件でスキルを積むか、どんなSES企業に所属するかで決まります。

極端な例を挙げれば、成長業界にいてもテストと事務作業だけの案件に3年間アサインされ続ければ、市場価値は上がりません。逆に、開発案件に継続的に関われるSES企業にいれば、20代のうちに転職市場で高く評価されるスキルを身につけることができます。

SESとSIerの将来性はどう違う?

「SESとSIer、どちらに将来性があるのか」と迷う方も多いです。両者は似て非なるもので、キャリアの築き方が異なります。SIer(システムインテグレーター)は自社で案件を元請けし、要件定義から設計・開発・運用までを一括で請け負う企業を指します。一方SESは、エンジニアの技術力(労働時間)を客先に提供する契約形態です。

将来性という観点では、SIerは上流工程(要件定義・設計)やプロジェクト管理の経験を積みやすく、年収の上限も高くなりやすい傾向があります。SESは多様な現場を経験できる反面、下流工程に留まりやすく、上流経験を積めるかは案件次第です。ただし、SESでも上流案件に関われる企業を選び、経験を積んでSIerや自社開発企業へ移るという道もあります。「SESかSIerか」で優劣を決めるより、「上流工程やモダンな開発に関われる環境かどうか」で判断するのが、20代のキャリアでは本質的です。

20代SESエンジニアのキャリアパス4分岐

20代のSESエンジニアが今後のキャリアを考えるとき、大きく4つの分岐があります。自分の志向性に合わせて、どの道を目指すかを決めましょう。

20代SESエンジニアが取りうるキャリアパス4分岐について、概要・向いている人・必要なアクションを整理した表です。
キャリアパス概要向いている人必要なアクション
SESで上流工程を目指す現在のSES企業に残り、より上流の設計・PMポジションへステップアップ今の会社にキャリアパスがあり、案件選択に自分の意思が反映される人設計書作成やレビュー経験を積極的に取りに行く。上司に希望を伝え続ける
自社開発企業へ転職SESを卒業し、自社プロダクトを持つ企業で開発に専念1つのプロダクトに深く関わりたい人。技術力を軸にキャリアを築きたい人ポートフォリオの作成。モダンな技術スタック(React、TypeScript、AWS等)の学習
社内SEへ転職事業会社の情報システム部門でIT環境の管理・改善を担当ワークライフバランスを重視したい人。ビジネス側との橋渡しに興味がある人ITILやネットワーク基礎の知識を補強。社内調整力をアピールできるエピソードを準備
IT以外の業界に転職SESで培った論理的思考やコミュニケーション力を活かし、異業種へエンジニアを続けることに迷いがある人。営業やコンサルに興味がある人SESで得たスキルの棚卸し。転職エージェントとの面談で自分の市場価値を確認

どの道を選ぶにしても、20代のうちに動くことが圧倒的に有利です。IT業界では20代のポテンシャル採用の枠が大きく、30代以降は実績ベースの評価に切り替わるため、キャリアチェンジの難易度が上がります。SESを辞めるべきか迷っている場合は、関連記事「SESを辞めたいと感じたら?20代向け判断基準ガイド|5タイプ別診断・辞めるべきケース・次のキャリア選択肢・円満退職の手順を徹底解説」もあわせて判断材料にしてください。

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将来性のあるSES企業を見極めるチェックリスト

SESに残る選択をする場合、所属する企業の質がキャリアの将来性を大きく左右します。以下のチェックリストで、今の会社(または転職先のSES企業)に将来性があるかを確認してみてください。

将来性のあるSES企業を見極めるための5つのチェック項目について、将来性のある企業と注意が必要な企業の違いを対比した表です。
チェック項目将来性のある企業注意が必要な企業
案件選択権エンジニア自身が案件を選べる仕組みがある会社の都合だけでアサインが決まり、希望が通らない
評価制度昇給・昇格の基準が明文化されている評価基準が曖昧で、何をすれば報われるかわからない
研修・資格支援研修制度や資格取得費用の補助がある現場任せでスキルアップの支援がない
事業の多角化受託開発や自社サービスにも取り組んでいるSES事業のみで、キャリアパスが限定的
キャリア面談3〜6か月ごとに定期的なキャリア面談がある常駐先に送り出したら放置される

5つのうち3つ以上「注意が必要な企業」に該当する場合は、今の会社に長くいてもキャリアアップが難しい可能性があります。転職エージェントに相談して、より将来性のある環境への移動を検討してみてください。

SESの将来性に不安を感じたときにやるべき3つのこと

「このままでいいのか」と漠然とした不安を感じたら、以下の3つのアクションを順番に実行してみてください。

アクション1:自分のスキルを棚卸しする

まずは現時点で自分が持っているスキルを書き出します。使用言語、フレームワーク、ツール、担当した工程(テスト、開発、設計など)をすべて一覧にしてください。書き出すことで、自分の強みと足りないスキルが可視化されます。

アクション2:転職市場での自分の立ち位置を確認する

転職エージェントに登録して面談を受けることで、今の自分がどのレベルの企業に転職できるかがわかります。すぐに転職する必要はなく、あくまで「市場価値のチェック」として活用するだけでも十分に価値があります。

アクション3:半年後の目標を設定する

「半年後にこのスキルを身につける」「この資格を取得する」など、具体的な目標を1つ設定してください。目標があると日々の業務への取り組み方が変わり、漠然とした不安が具体的な行動に変わります。

AIの進化でSESはなくなる?今後10年の展望

「AIにコードを書かせる時代が来たらSESは不要になるのでは?」という不安を持つ人もいますが、結論から言えば、SESがすぐになくなる可能性は低いです。

AIが得意なのはコード生成やテストの自動化など、定型的な作業です。一方、クライアントの要件をヒアリングして要件定義に落とし込む、チームでの意思疎通を図る、想定外のトラブルに対応するといった人間にしかできない業務は、今後もSESエンジニアの重要な仕事であり続けます。

ただし、AIを活用できるエンジニアとそうでないエンジニアの間で、市場価値の差は広がっていくでしょう。AIを「脅威」として恐れるのではなく、「自分の生産性を高めるツール」として使いこなすスキルを身につけることが、今後のSESエンジニアにとって重要な武器になります。むしろAIを前提に、要件定義・設計・レビューといった上流の判断や、クラウド・セキュリティなど需要の高い領域へスキルを広げていく20代は、10年後もむしろ価値が高まっていきます。

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よくある質問

Q. SESは何年くらい続ければスキルが身につきますか?

案件の内容によりますが、開発案件に携われていれば1〜2年で転職市場で評価されるレベルのスキルが身につきます。逆に、テストや運用保守だけの案件では何年続けても開発スキルは身につきません。重要なのは年数ではなく、どんな業務を経験しているかです。

Q. SES営業の将来性はありますか?

あります。SES営業はエンジニアと企業をつなぐ役割で、IT人材需要が続く限り必要とされます。ただし、単に人を送り出すだけの営業から、エンジニアのキャリアを踏まえた提案ができる営業へと価値がシフトしています。将来性を高めるなら、IT・技術の基礎知識を身につけ、エンジニアの成長を支援できる営業を目指すことがポイントです。キャリアアップとしてキャリアアドバイザーや人材紹介の営業へ広げる道もあります。

Q. SESのまま年収を上げることはできますか?

可能です。方法は主に3つあります。1つ目は上流工程を担当して単価を上げること、2つ目は需要の高い技術(クラウド、セキュリティなど)を習得して高単価案件にアサインされること、3つ目はより条件のよいSES企業に転職することです。

Q. 未経験からSESに入って1年目ですが将来が不安です

1年目で不安を感じるのは自然なことです。まずは今の案件で学べることを最大限吸収し、同時に個人で学習を進めてください。1年目の段階では、目の前の業務に全力で取り組みながらスキルの棚卸しを行い、2年目以降のキャリアの方向性を考え始めるのが理想的です。

Q. SESと派遣の違いは何ですか?

SESは技術力の提供を目的とした準委任契約で、業務の指揮命令権は自社にあります。一方、派遣は派遣先企業に指揮命令権があります。ただし実態として境界が曖昧なケースもあり、SES契約なのに派遣先の指示で動いている場合は偽装請負の可能性があるため注意が必要です。

Q. SESから自社開発に転職するのは難しいですか?

20代であれば決して難しくありません。ポテンシャル採用の枠があるため、SESでの開発経験に加えてポートフォリオを用意すれば、選考に進める企業は多いです。転職エージェントを活用すれば、SES経験者を歓迎している自社開発企業を紹介してもらえます。

Q. SES企業の多重下請け構造とは何ですか?

元請け企業が受注した案件を二次請け、三次請けと順に外注していく構造のことです。下流に行くほどマージンが抜かれるため、エンジニアの取り分が少なくなります。自分が何次請けの案件に入っているかを確認し、できるだけ上流に近い案件を持つ企業を選ぶことが年収アップにつながります。

Q. SESの将来性が不安ですがすぐに転職すべきですか?

すぐに転職する必要はありません。まずは自分のスキルの棚卸しと市場価値の確認を行い、現在の環境で改善できることがないか検討してください。その上で、改善の見込みがなければ転職を視野に入れましょう。転職エージェントへの登録は情報収集として活用できるので、転職を決意する前の段階でも有効です。

まとめ

SES業界の将来性はIT人材不足とDX需要の拡大により今後も成長が見込まれます。ただし、SESエンジニア個人の将来性は「どんな企業でどんなスキルを積むか」で大きく分かれるため、業界の将来性と自分の将来性を分けて考えることが大切です。

この記事のチェックリストで今の環境を見直し、キャリアパス4分岐の中から自分の方向性を決めてください。20代のうちに正しい判断をすることが、3年後・5年後のキャリアを大きく左右します。SESからの転職を具体的に考える場合は、関連記事「SESから転職できないは嘘?20代が陥る3つの壁と突破法|原因診断・SES経験の武器化・転職先別難易度マップ・面接回答術を徹底解説」もあわせてご覧ください。

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ビーシャイン編集部

この記事を書いた人ビーシャイン編集部

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高橋 文明(株式会社クオンツ 代表取締役)

監修高橋 文明(株式会社クオンツ 代表取締役)プロフィール »

システム開発会社を15年以上経営し、20代未経験・第二新卒を累計140名採用・育成。首都圏の地域若者サポートステーションと連携し、若者の就業支援・IT教育にも従事。採用側と求職側の双方を見てきた立場から本記事を監修しています。

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